身体や言語およびこれらの相互作用や発達について,文献を輪読したり,データを眺めたりする会で,2018年4月から始動しました。メンバーの専門は,哲学,発達科学,心理学,言語学,社会学,文学,観光学,リハビリテーション学など多岐にわたっています。
「身体と言語」の両方に繋がる過去の文献を,異分野の研究者 (ポスドクや大学院生を含む) が協同して読み解いていくことによって,当該文献についての慣例的な解釈にとどまらない,より深く広い理解を得ること,そして,それをもとに研究会メンバーそれぞれの課題研究をより洗練させていくことを主要な目的としています。
ご興味のある方はぜひ下記連絡先よりお問い合わせください!
(学部生,研究生,他大学の方も大歓迎です)
■およそ2年半ぶりの開催となる6期では,若くして逝去した生態心理学者リードの「アフォーダンスの心理学」(原題:「Encountering the World : toward an ecological psychology」) を読みます。
■「ミミズの穴ほりから人間の言語・思考まで,心理学的なるものを有機体が世界と切り結ぶプロセス(アフォーダンス)に働く機能としてとらえ,それを生態と進化の視点から体系的に提示して話題を集めた気鋭の代表作。才気に富んだ囲み記事も楽しい。」(出版社webサイトより)。
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■5期では,まさに身体と言語の接点となる「身ぶり」に焦点を当てます。取り上げるテキストは「身ぶりと言葉」(原題:「Le geste et la parole」) です。
■著者のルロワ=グーランはフランスの有名な先史学者で、本テキストはその筋では古典とみなされているそうです。身ぶりと言語の進化だけでなく、記憶の外部化や都市の形成など、先史時代から現代までの人類の発展を総合的観点から論じた大著です。実証的データは古びているところもあると思いますが、根幹の理論は明確に打ち出されているので、今読んでも色々と発見があるのではないかと期待しています。
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■前年度 (3期目) は「身体 × 環境」をテーマに,読書会や学際レクチャー・学際ワークショップなどを開催しました。4期目となる2020年度は,「言語 × 進化」にフォーカスします。取り上げるテキストは,「The Evolution of Language」です。
■人間の個体発生 (発達) とは異なる「進化」というマクロなタイムスケールで,言語がどのように捉えられてきたのか,さまざまな理論や知見を概観します。人類進化に留まらず,ヒト以外の生物種を対象にした研究知見から,言語の生物学的基盤などについても多くの情報が得られると期待しています。本書の読書会には,「共創言語進化学 若手の会」の有志メンバーにも参加してもらう予定ですので,さまざまな分野の方と言語の進化について議論できると思います。ご興味のある方は,ぜひ一緒に学びましょう。
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■3期目となる2019年前期は,テーレン&スミスの「発達へのダイナミックシステム・アプローチ」 (原題:A Dynamic Systems Approach to the Development of Cognition and Action) の輪読会を行ないます。本書は90年代半ばに出版され広く知られている名著ですが,昨年ようやく邦訳書が出たばかりです。
■ダイナミックシステム・アプローチは,複雑系や自己組織化といった数理系の理論を人間発達に応用した新しいシステム理論です。人文・社会科学と自然科学とを往還しながら人間発達を見つめるという意味で,本書は学際色豊かなテキストといえます。ご興味のある方は,ぜひ一緒に学びましょう。
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[引用] https://fr.wikipedia.org/wiki/Gustave_Guillaume
■2018年後期は,ギヨームの言語論の概説書を輪読していきます。書名は「Language in the Mind: An Introduction to Guillaume's Theory」で,まだ邦訳されていない本です。
■ギュスターヴ・ギヨーム(Gustave Guillaume, 1883-1960)は,言語学の分野では冠詞や時制についての研究業績を残した人物として時折参照されることがあるものの,その存在は今ではほとんど忘れ去られてしまっています。しかし,彼は発話を産出する話者の思考プロセスを定式化する独自の言語理論を構築し,その理論はギヨーム学派と呼ばれる後継者たちによって受け継がれることになりました。その中の一人Walter Hirtleによるギヨーム理論の概説書である本書は,難解だけれども魅力的なギヨーム理論への最良の導きとなるでしょう。ご興味のある方は,ぜひ一緒に学びましょう!
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■最初の輪読会では,言語発達研究の古典のひとつ「シンボルの形成」(原題は「Symbol Formation」)を扱っていきます。500頁ほどもある大著です。1回に50頁ずつ読み進めたとして,10回ほどで読み終える見込みです(2018年4~9月で終了予定)。
■言語発達理論と言えば,チョムスキーやトマセロ,マークマンといった研究者の名前がよく挙げられるかと思います。一方で,この本の著者(ウェルナーとカプラン)については,最近耳にすることは少ないのではないでしょうか。しかし,今も色褪せることのない重要な問題や議論を数多く提起している点で,非常に読み応えのある著作と感じています。ご興味のある方は,ぜひ一緒に学びましょう!
■活動記録はこちらから。
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